哈大高鉄開通後の初「春運」　高鉄人気の影に長距離バスの苦境

by川人 由美  on 2013/2/5

  大連－ハルピンを結ぶ「哈大高速鉄道」が昨年12月1日に開通。一時の大連関連ニュースやブログはこの話題一色に染まりました。

　　そして現在、開業から1ヶ月半あまり。私の周囲でも出張や移動でもう利用したよという声もよく耳にするようになりました。利用者からは口を揃えたかのように、「とても便利！」「楽！」「あんなに長い時間かかってたのは一体何だったの？」という声が。

　　そんな高鉄開通に嬉々と沸く一方で、巨大な不況の波が押し寄せた先は長距離バス。

　　かつて一日の便数も限られ、「特急」と呼ばれながらも所要時間も5時間近くかかっていた大連－瀋陽間の列車に比べ、1時間に複数便、所要時間も列車とほぼ同じ、もしくはより短いことから非常に便利で利用も多く、長距離バスは市民にとって重要な交通手段だった。

　　大多数が長距離バスから高鉄へシフトするのも無理はない。というのもこれまで長距離バス料金が129元だったのに対し、高鉄の二等席（硬座）料金は116元～124元。時間や快適さを考えても、高鉄に分配があがるのは当然のこと。これを機にバス料金を129元から84元へ料金値下げに踏み切るバス会社も。

　　地元メディアによると、大連からハルピン方面を結ぶ長距離バス18路線、約60台のバスの集客・運行に影響をもたらし、鞍山、遼陽、吉林、長春方面があいついで運行を休止。大連－瀋陽間においても、8割近くのバスを運行休止させるという苦い決断を下した模様。（上記記載料金は高鉄、バス共に大連－瀋陽間。高鉄は2013年1月現在冬ダイヤ料金）

　　哈大高鉄以外にも北京―瀋陽を結ぶ京瀋高鉄が大連に延長したこともあり、同様に北京への長距離バス利用者も70％ダウンしたとのことだ。

　　2013年の春運（春節休暇による帰省大移動）期間は春節の2月10日をはさみ、1月26日～3月6日の約40日間が見込まれ、中でも2月6日～9日、2月12日～15日にピークを迎える。

　　大連市交通集団は昨年比で見込みを大幅に下げるものの、この春運で83万人の長距離バス利用者を見込み、現在の1，400台に加えさらに臨時で200台のバスを投入予定のほか、チケット購入時の混雑解消および利便性を考慮し15日前より受付販売開始し、仮設チケット売り場25ヶ所、臨時停留所20ヶ所を新たに設け、利用者獲得に挑む。

大連駅前から発着する瀋陽行き長距離バス「虎跃快客」。チケット売り場には春節前の特別売り場も設けられている。チケットを求める人も少なくはないが……